この記事では、ベースでのスライド&グリッサンド(グリス)のやり方と、うまく弾くコツについて解説していきます。
スライドとグリッサンドは、どちらも「あるフレットから弦を押さえたまま指を滑らせて、違う高さの音にする奏法」です。
両者は似ていますが、違いは「到達点が明確か不明確か」で覚えておけばOK。
- あるフレットに向かって弾く
⇒ スライド - 到達点が不明確
⇒ グリッサンド
どちらも演奏に味が出るので、ぜひとも身につけておきたいテクニックですね!
それでは、スライド・グリッサンドのやり方とコツについて解説していきます。うまく弾けない…と悩んでいたら読んでみてください。
ベースでのスライドのやり方
スライドのやり方は簡単。
押弦して音を鳴らす ⇒ 指を滑らせて音の高さを変える
通常の弦移動やハンマリング・プリングと違うのは、経過音があること。
例えば「ドの音 → ミの音」にスライドすると、間の「ド# / レ / レ#」の音も鳴ります。
このように、弦の上をスライドさせることで、音をなめらかにつなぐ効果があります。
スライドのバリエーション
スライドのバリエーションはさまざまです。
ここで、よく使われるパターンをいくつか見ていきましょう。
音の入りをスライドにするパターン
音の入りをスライドにするパターン。
画像のようなフレーズでも、最初の音をスライドインにするだけで印象がガラッと変わります。
例えるなら、ボーカルの唄いかたに近いイメージでしょうか。単調なフレーズにも動きがでます。
上昇するパターン
スライドで上昇するパターン。
画像の例だと「3弦3フレット → 3弦5フレット」にスライドしています。
スライドを使わなければ「3 → 5 → 7」で3回ピッキングしますが、スライドの終点(5フレット)は弾かないので、ピッキングは2回です。
下降するパターン
スライドで下降するパターン。
上昇するパターンと同じく、スライドの終点(7フレット)は弾かず、ピッキングは2回です。
ベースでのグリッサンド(グリス)のやり方
次に、グリッサンドについて解説していきます。
グリッサンドは通常「グリス」って呼ばれることが多いです。
グリッサンドのやり方はスライドと同様、弦を押弦して指を滑らせるだけです。
スライドとの違いは
- 到達点が不明確
- スライド範囲が大きいことが多い
主にこの2つ。
そのため、曲のアクセントや効果音としての使い方をしたり、同じフレーズの雰囲気を変えるために使ったりします。
グリッサンドのバリエーション
スライドと同様、グリッサンドのバリエーションもさまざまです。
よくあるパターンをいくつか見ていきましょう。
上昇するパターン
グリスで上昇するパターン。
画像の例では、2弦2フレットから上昇しています。
このようにグリスを入れることで、単調な音にも動きを表現できます。
下降するパターン
グリスで下降するパターン。
画像の例では、3弦12フレットから下降しています。
同じように、グリスを入れることで単調な音にも動きを出せます。
上昇+下降するパターン
グリスで上昇して、グリスで下降するパターン。
画像の例ではフレットの指定がないので、3弦の任意の場所から上昇し、任意の場所から下降します。
ピッキングは2回鳴らすイメージです。
また、他の弦に移ってグリスをするパターンもあります。(下図参照)
弦移動を取り入れるだけで、雰囲気がガラッと変わりますよ。
下降+上昇するパターン
グリスで下降して、グリスで上昇するパターン。
画像の例だと「5弦4フレットから下降 → 4弦の任意の位置から上昇」といった感じで、2回のグリスに対して弦も2回弾きます。
こちらも同様に、同弦・異弦とさまざまなパターンがあります。
往復するパターン
グリスで上昇・下降の往復をするパターン。
1回のピッキングで弦の上を大きくスライドさせて、ブイ〜ンと音を鳴らします。
上の画像の例では4弦1フレットから始まっていますが、任意の位置から弾くパターンもあります。(下図参照)
イメージで近いのは、バイクを「ブォン!」と鳴らす感じでしょうか。
かなり主張が強いので、曲のアクセントとして使うと破壊力抜群ですが、多用すると「ただうるさい」だけになります。
スライド・グリッサンドをうまく弾くコツ
ここからは、スライド・グリッサンドのコツについて解説していきます。
- スライド・グリッサンド共通のコツ
- スライドのコツ
- グリッサンドのコツ
この3部でお届けしますね。
スライド・グリッサンド共通のコツ
スライド・グリッサンドに共通するコツは次のとおり。
- 押弦は「強すぎず、弱すぎず」
- 親指はネックから少し浮かす
- ベースのコンディションを整える
順番に、詳しく解説していきます。
押弦は「強すぎず、弱すぎず」
指をスライドさせるときの押弦は、強すぎても弱すぎてもよくないです。
押弦が強すぎると
- 音が強くなる
- 指が痛くなる
- 楽器へのダメージも大
- スムーズなスライドが困難
逆に、押弦が弱すぎると
- 音が弱くなる
- 音が途切れやすい
- 指が滑って弦から離れやすい
こういった具合になります。
コツは、音が途切れない最小限の力で押弦してスライドする意識です。
押弦、弱すぎるかな…?強すぎるかな…?
って気になるかもですが、気持ちいいと思う音が鳴っていればそれが正解です。
なので、あまり神経質にならなくてOK!
親指はネックから少し浮かす
押弦している指をスライドさせるときは、親指を少しネックから浮かせると弾きやすいです。
親指がネックにおしつけてられていると、指の摩擦でスムーズなスライドが困難になります。
なので、親指をちょっとだけ浮かせて滑らかにスライドさせましょう。
ちなみに、グリッサンドなど動きが大きい場合は、あえてネックに軽く触れて親指をガイドにするのもアリかなって思います。
親指をネックから離すと手の動きがフリーになる分、指が暴れやすくなるので。
スライドのコツ
続いて、スライドのコツについてです。
スライドのコツは次の2つ
- しっかりとリズムをとる
- 目標のフレットを先に見ておく
それぞれ詳しく解説していきます。
しっかりとリズムをとる
スライドを使うとリズムが崩れがちですが、しっかりとリズムキープできるようにしましょう。
コツは、弦を弾いてる部分は「タ」スライド部分は「ラ」でリズムをとるようにするとうまくいきます。
たとえば上記の譜面なら、5つの音を
「1〜2〜345〜」
といった具合で弾くと思いますが、これを
タ〜タ〜タラタ〜
と頭のなかでリズムをとるイメージです。
べつに「タ」と「ラ」じゃなくてもいいですが、リズムが崩れないように弾きましょう。
目標となるフレットを先に見ておく
スライドでありがちなのが、目標となるフレットで指をうまく止められず、音が途切れたりビビッたりすること。
それを解消するコツは、目標となるフレットを先に見ておくことです。
スライドしながら指先の動きを目で追っても、目標となるフレットの位置は曖昧です。
これだと、感覚で弾いているのとほとんど同じ。
目標となるフレットを先に見ておく
→ そこに向かって指を滑らせる
これを意識するだけで、かなり演奏が改善されますよ。
グリッサンドのコツ
続いて、グリッサンドのコツについてです。
グリッサンドのコツは次のとおり。
- スライドする範囲は大きく
- 多用しない
それぞれ詳しく解説していきます。
スライドする範囲は大きく
グリッサンドは、曲の味付けとして使われます。
状況にもよりますが、小さな範囲でのグリッサンドは効果が薄れます。なので、スライド範囲は大きく、大胆に、カッコよく決めましょう!
多用しない
グリスはよくもわるくも目立つ奏法。
ここぞという場面で使うと曲のスパイスとなりますが、多用するとクドく感じてしまいます。
使いやすいので多用したくなりますが、足すばかりでなく引くことも大事です。
とくに弦を往復するド派手なグリスは、曲の出だしやサビ前などの盛り上げたい部分で派手にカマしてやりましょう!
ベースのコンディションを整えるのも大切
うまくスライドさせるためには、ベースのコンディションを整えるのも大切です。
具体的には、下記の2点
- ベース弦を替える
- 指板潤滑剤を使う
ベース弦を替える
当然ですが、弦が錆びているとスライドは困難です。
錆びていなくても、古かったり手垢で汚れていると滑りは悪くなります。
また、弦の種類によっても演奏性は変わります。
具体的にいうと、ステンレス弦はスライドに不向きです。
なので、スライドがうまくできない…と思ったら、ニッケル弦で定番のもの(ダダリオやアーニーボールなど)を使ってみましょう。
案外、弦を替えるだけでかなり改善されるかもしれません。
また、コーディング弦(エリクサー)は滑りが良いのでスライド向きです。
通常の弦よりちょっと値段が高めですが、そのぶん寿命も長いので、試してみる価値はアリです!
ベース弦については下記の記事でも詳しく解説しています。よかったら覗いてみてください。
指板潤滑剤を使う
演奏性を上げるためには、指板潤滑剤を使うのもひとつの手です。
スプレータイプの潤滑剤などもありますが、私のおすすめは「FAST FRET」一択。
他の記事でも何度か紹介していますが、これほど安価で手軽で長く使える優れものは他にないです!
さて、スライドとグリッサンドについてはこんなところでしょうか。
この記事が少しでもあなたのお役に立てたなら嬉しいかぎりです。
たくさん練習して、スライドとグリッサンドの技術を身につけましょう!私もがんばります!
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