ベーシストに音楽理論の知識は必要なの?
こんな疑問を持っている人は多いんじゃないでしょうか?
音楽に関わっている以上、音楽理論の知識を身につけることは大切です。
しかし、世のバンドマンの全員が音楽理論の知識を完璧に身につけているかというと、そうでもないのが実情。
事実、プロとして活躍しているアーティストでも、楽譜が読めなかったりコード理論が曖昧だったりする人もいるとか。
特にベースは、ギターやキーボードのようにコードを鳴らす楽器ではないので、音楽理論を知らなくてもあまり困らないように思いますね。
そんな話を踏まえて、「ベーシストに音楽理論の知識は必要か」という疑問に対して私が思うのは下記の通り。
- 必須ではないけど、覚えておくとベースが楽しくなる!
- 作曲したい、またはプロになりたいなら必須!
私は趣味でずっとベースをやっていますが、いっとき作曲にハマっていたことがあり、その時に少しだけ音楽理論の勉強をしました。
知識を得て感じたのが、音楽理論の知識があるのと無いのではベースを楽しむ上で大きな差が生まれるということです。
本記事では、ベーシストのための音楽理論について書いていきたいと思います。
ベース弾きなら最低限知っておきたい音楽理論の知識
ベース弾きなら最低限知っておきたい音楽理論の知識は、ズバリ「スケール」と「コード」です。
スケールとコードを学ぶのは、様々なメリットがあります。
とくに「耳コピが格段に楽になる」は、趣味でベースを弾く人にとって大きなメリットです。
スケールやコードの知識があると、耳コピでベースの音を拾う手掛かりが増えるので、100%聴き取れなくてもフレーズが構想できます。
耳コピが格段に楽になる
→ 弾ける曲のレパートリーが増える
となり、結果的に「ベースが楽しくなる」に繋がってきます。
さて、こんなメリットもある音楽理論ですが、本記事ではベーシスト向けにかいつまんで
- メジャースケール/マイナースケール
- コード理論(メジャー/マイナー)
- コード進行
の3構成でお話ししていきます。
1.メジャースケール/マイナースケール
「スケール」と一口に言っても、実はものすごいたくさんの種類があります。
まず、そもそもスケールってなんぞや?ってことについてちょっと触れておきます。
スケールは「音階」と言ったほうがイメージがつきやすいかもしれませんね。
音階(おんかい、英語: scale:スケール)は、音を音高により昇順あるいは降順にならべたものである。
引用元:Wikipedia「音階」
つまり「ドレミファソラシ」や「ラシドレミファソ」など、音を順番に並べたもののことです。
そんなスケールの中から、超基本であるメジャースケールとマイナースケールについてお話ししていきます。
メジャースケールとマイナースケールを覚えておくと、のちに様々な応用ができるので、しっかりとおさえておきたいポイントです。
メジャースケールとは
まずはメジャースケールです。
メジャースケールは「Cメジャー」「Aメジャー」など、音の数だけ種類があります。
結論から言ってしまうと、メジャースケールとは
「全・全・半・全・全・全・半」
と音が並ぶスケール
音の進み方には「全音」と「半音」があります。
- 「ド→レ」のように音が2つ進む → 全音
- 「ド→ド#」のように音が1つ進む → 半音
この「全音と半音の組み合わせ」や「音の数」の違いで、スケールの呼び方が変わってきます。
繰り返すと、「全・全・半・全・全・全・半」と音が並ぶスケールが「メジャースケール」
たとえばDメジャースケールは
「レ」の音から始まるスケール
わかりやすく言うと
「レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・シ・ド#・レ」
Eメジャースケールは
「ミ」の音から始まるスケール
こちらは
「ミ・ファ#・ソ#・ラ・シ・ド#・レ#・ミ」
「ファ」の音から始まればFメジャー
「ソ」の音から始まればGメジャー
こんな感じで、基音から「全・全・半・全・全・全・半」と進む音階がメジャースケールです。
イメージはつきましたでしょうか?では、これをベースに応用してみます。
ベースでCメジャースケールを弾くと、指の動きは次の図のようになります。
この指の動きをそのまま他のフレットにずらせば、違う音のメジャースケールが弾けます。
「A(ラの音)」なら「Aメジャースケール」
「D#(レ#の音)」なら「D#メジャースケール」
どんなメジャーコードにも対応できます。
例えばギターが「Cのコード」を弾いているときに、ベースは「Cメジャースケール」の音からフレーズを作っていけば、大きく違和感のある音にはなりません。
以上がメジャースケールの解説です。
マイナースケールとは
次に、マイナースケールです。
こちらも結論から言うと、マイナースケールとは
「全・半・全・全・半・全・全」
と音が並ぶスケール
メジャースケールの時の音階は
「全・全・半・全・全・全・半」
でしたね。
それに対し、マイナースケールの音階は
「全・半・全・全・半・全・全」
になります。
半音進むポイントが異なります。
わかりやすいのが、Amスケールです。
Amスケールは
「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」
他の音に変わっても、音の進み方は同じです。
Dmなら
「レ・ミ・ファ・ソ・ラ・ラ#・ド・レ」
Emなら
「ミ・ファ#・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ」
そして、ベースで弾く時のマイナースケールの指の動きは次の図の通り。
メジャースケールの時と同じで、指の動きはそのままで他のフレットにずらせば、違う音のマイナースケールが弾けます。
例えばギターが「Amのコード」を弾いているときにベースは「Aマイナースケール」の音からフレーズを作っていけば、大きく違和感のある音にはなりません。
以上がマイナースケールの解説です。
メジャースケール/マイナースケールまとめ
メジャースケールとマイナースケールの要点をまとめます。
まずはこの2つのスケールを覚えておくだけで、いろいろなことに応用できるようになります!
2.コード理論(メジャー/マイナー)
ギターをやったことがあれば想像できると思いますが、コードも恐ろしいくらいたくさんの種類があります。
そんなコード理論の初歩の話をしていこうと思います。
まず、そもそもコードとは?ってことから…コードは日本語でいうと「和音」です。
和音(わおん、英語: chord(コード)、独: Akkord)は、高さが異なる複数のピッチクラスの楽音が同時にひびく音のことである。三つのピッチクラスからなる和音を「三和音」、四つのピッチクラスからなる和音を「四和音」などと呼ぶが、同時に8つの高さの音が鳴っても、ピッチクラスが3または4であれば、それは基本的には三和音または四和音とみなされる。
引用元:Wikipedia「和音」
複数の音を同時に鳴らしたときにひびく音が
「コード(和音)」ですね。
ベースは複数の音を同時に鳴らすことはそうそうないので、コードとはあまり縁がないかもしれません。大事なのは、次の3点です。
- 度数(1度・2度・3度…)
- コード記号(A、Am、Cなど)
- メジャー / マイナーの違い
それぞれ、詳しく解説していきます。
「度数」について
まず、度数のお話です。
度数とは、音程を数えるための単位のこと。
例えば「Cメジャースケール」の音の進み方は
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」ですね。
この最初の「ド ⇒ C」の音が、Cコードの「根音(ルート音)」となります。
Dメジャースケールなら
「レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・シ・ド#」
この最初の「レ ⇒ D」の音が、Dコードのルート音になります。
そして度数というのは、「ルート音 = 1度」として、そこから音階が上がるにつれて「2度」「3度」と数えていく単位のことです。
たとえをいくつか挙げると
- 「Cメジャーの3度の音」なら「ミの音」
- 「Cメジャーの5度の音」なら「ソの音」
- 「Dマイナーの3度の音」なら「ファの音」
- 「Aメジャーの5度の音」なら「ミの音」
- 「Eマイナーの3度の音」なら「ソの音」
こんな具合です。
「コード記号」について
次に、コード記号のお話です。
バンドスコア(楽譜)やコード譜を見ると、例えば「C」や「Am」はたまた「G7」などの記号が書かれているのを見ると思います。
これは、さきほどの「度数」によって記号が変わってきます。
コード記号のみ表示されている場合
アルファベット記号のみの場合、『1度・3度・5度』の3つの音から作られる和音を示します。
- 「C」なら『ド・ミ・ソ』
- 「D」なら『レ・ファ#・ラ』
- 「Am」なら『ラ・ド・ミ』
といった感じ。
コード以外の数字や記号が付く場合
アルファベット記号以外になにかしら記号や数字が付加されている場合は、通常の『1度・3度・5度』の3音から変化した和音を示します。
例えば「G7」のように『7』という数字が付く場合は、先ほどの『1度・3度・5度』の音に『7度』の音を足した4つの音から作られる和音です。
7度の音を足すので「セブンスコード」という言い方をします。
- 「G7」なら『ド・ミ・ソ・シ』
- 「Dm7」なら『レ・ファ・ラ・ド』
といった感じ。
セブンスコード以外にもたくさんのコードがあります。
こういった複雑に変化するコードの知識はギターやピアノでは重要ですが、本記事はベース向けの内容なので、詳しい内容は割愛します。
とりあえずは『通常のコードから変化する場合に記号や数字が付く』くらいの認識で大丈夫です。
メジャー / マイナーの違いについて
最後に、コードにおける「メジャー」と「マイナー」の違いについてです。
先ほど「C」「D」「Am」などのコード記号のみで書かれているものは『1度・3度・5度』の3つの音で構成された和音であると解説しました。
このうち、メジャーコードとマイナーコードの違いは「3度の音」です。メジャーとマイナーで、3度の音が「半音」異なります。
先に説明した「メジャースケール」と「マイナースケール」を思い出していただけるとわかりやすいかと思います。
例えば、「C」と「Cm」で比較してみましょう。
- Cスケール ⇒ ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
Cコードは「ド・ミ・ソ」
- Cmスケール ⇒ ド・レ・レ#(ミ♭)・ファ・ソ・ラ・ラ#(シ♭)
Cmコードは「ド・ミ♭・ソ」
同じように「AとAm」「DとDm」など、他の記号でも確かめていただくとわかると思います。
どの音になっても『メジャーとマイナー』の違いは『3度の音が半音違う』になります。
この「3度の音が半音違う」ことによって、音の雰囲気が変わります。
これが、メジャーコードとマイナーコードの違いです。
コード理論まとめ
以上が、コード理論に関するお話になります。
突き詰めるともっと複雑になってきますが、ベースは基本的にコードを弾く楽器ではないので、本記事では内容をかなり凝縮しました。
コードの知識を更に深めたい・もっと勉強してみたいと思ったら、ぜひ本記事の最後に紹介している書籍などを活用して勉強してください!
3.コード進行
例えば『C→Am→Dm→G』のようなコードの移り変わりを『コード進行』と言います。
ずっと『Cコード』だけだと単調で味の無い曲になりがちですが、様々なコードに移り変わることで曲の雰囲気や味が作られていきます。
コードの組み合わせは自由で可能性も無限大です。
しかし、闇雲にコードを繋ぎ合わせても、まとまりがなく違和感が大きい曲になってしまう可能性が大きくなります。
そのため、多くの曲では「気持ちよく聴こえる王道なコード進行」が使われることが多いです。
ただ、ベースを弾く上で大切なのは「王道なコード進行を覚える」ことよりも「コード進行を意識しながら曲を聴いて、感覚的にコードや音を理解できる」ようになることです。
そこで、コード進行を意識しながら曲が聴けるようになるための基本的な知識についてお話ししていきます。
コード進行を意識しながら曲を聴いていると、たくさん曲を聴いているうちに「あっ、このコード進行は他の曲でもよく使われているな」っていうのに気付いてきます。
曲には「キー」がある
まず、曲には「キー」というものがあります。キーは「調」という言い方もします。
カラオケとか行くと、声が高くて歌いにくい曲とかは「キーを下げる」とか言いますよね。
キーというのはその名の通り、曲の「キーとなるコード」のことを示しています。
コード進行は、この「キーとなるコード」を基準にして作られています。
そのため、曲に使われているコード進行を知るためにはまず、その曲のキーを知ることが大切になってきます。
どうやってキーを確かめたら良いのかわからないって思うかもしれませんが、大概はその曲の楽譜やコード譜を見れば書いてあります。
そして、コード譜はちょっとググるとヒットすることも多いので、気になる曲があったら調べてみてください。
例えば、スピッツの「チェリー」は有名ですが、チェリーの原曲キーは「C」になります。
そのため、チェリーは「Cコードを基準にコード進行が作られている」と考えることができます。
曲に使う音は「曲のキーのスケールの音」がメイン
曲中に使われている音は、曲のキーとなる音の「スケールの音」がメインになります。
たとえば、キーが「C」の曲なら「Cメジャースケール」すなわち「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の音が基本的に使われています。
逆に言うと、キーが「C」の曲で「C#」や「A#」などのCメジャースケール上に無い音がメインとして使われることはほとんど無いと考えてOKです。
※経過音として一瞬だけ登場したり、コードの中に隠れていたりすることはあります。全く使われないわけではないので要注意…。
ベースは基本的に「ルート音」から弾く
あるコードを弾いている時、ベースの音は
- ルートの音
- ルート音から始まるフレーズ
のどちらかを弾いていることが多いです。
例えば「C」コードの時は
- 「ドドドド…」とドの音を弾く
- 「ドミソミドミソミ…」など、ドから始まるフレーズを弾く
このどちらかが多いということになります。
「C→Am」とコードが移り変わる時は
- 「ドドドド→ララララ」
- 「ドミソミ→ラドミド」
などなど、赤文字の部分はルートの音であることがほとんどです。
『コードが移り変わった時の最初の音はコードのルート音』
と覚えておくと、ベースの音がイメージしやすいかと思います。
※絶対にルート音から始まるとは限らないので要注意…。
コード進行まとめ
以上が、ベースを弾く上で覚えておきたいコード進行のお話になります。
コード進行も、非常に奥が深いです。
本格的に勉強して覚えていくと、曲を分析したり、作曲ができるようになってきます!
ただ、先にもお話しした通り、ベースとして大切なのはコード進行を意識しながら曲を聴いて、感覚的にコードや音を理解できるようになることだと私は考えています。
コード進行を意識しながら曲が聴けるようになると、ベースのフレーズが完全に聴こえなくてもなんとなくベースの音がわかるようになってきます。
ベース弾きとして有利になるのは間違いないので、ぜひおさえておきたいポイントです!
ベースに役立つ音楽理論の知識まとめ
さて、長々とお話ししてきたので、ここで本記事の内容をまとめていきます。
ベース弾きが最低限覚えておきたい音楽理論の知識は「スケール」と「コード」です。
もっと音楽理論を深く勉強するには
音楽はとても奥が深いので、本記事でお話しできなかったことはまだまだたくさんあります。
もっと音楽理論を学びたい!と思ったら、教則動画や書籍を使った勉強がおすすめです。
正しい知識を学ぶには正しい情報を得るのが大切。教則動画や書籍ならまず大きく外れることはないと思います。
書籍のおすすめは「作曲に関する本」
音楽理論を勉強したければ作曲しろ!というわけではないのですが、作曲に関する本を読むと音楽の知見が広がるのは間違いないです。
私も、一時期『作曲』にハマっていた時期がありました。その時に本で勉強しながら実際に作曲をして、今の音楽の知識を広げていけたと思っています。
さて、そんな私が勉強するのに使った作曲の本を紹介します。
もっと!思いどおりに作曲ができる本/川村ケン
1冊目に紹介するのは、川村ケンさん著作の
「もっと!思いどおりに作曲ができる本」です。
- 音楽の基礎知識習得
- コードの勉強
- 作曲・アレンジ(編曲)
- 演奏の上達
などなど、この一冊で勉強できちゃいます。
作曲にハマっていた時期、私も大変お世話になった本です。解説もわかりやすいので、内容がスーッと頭に入ってきます。
よくわかる作曲の教科書/秋山公良
2冊目に紹介するのは、秋山公良さん著作の
「よくわかる作曲の教科書」です。
- 曲作り
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- メロディ
- アレンジ
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